昨年の内部統制関連の傾向として、3月決算の上場企業は内部統制報告書作成のための文書化とウォークスルー等の整備状況評価作業で手一杯であった例も少なくありません。文書化を行ったことで、業務の可視化がされ、改善すべき問題点が表面化したものの当面の対処で終わっている情況も見受けられます。
改善すべき問題点は主に次の3点があげられます。ひとつは、問題となる「業務プロセスの見直し」が表面化したこと。次に「従業員教育の遅れ」、内部統制整備に携わる人だけでなく、全従業員を対象にしっかり教育を行う必要性があること。さらに、「IT統制整備への遅れ」、ITインフラが老朽化または整備不足であったことがあげられます。文書化することで、内部統制上問題のある業務や、業務に効率化・省力化できる部分が多数見つかったものの局所的な対応に追われているケースもあります。4月以降、金融商品取引法への対応が一段落ついた企業は改めてこうした問題点を見直し対処する必要もあります。法律への当面の対応だけでなく、企業競争力や業務の効率化を見据えたより重要なステップへと移っていく段階に入りました。
上記のような情況は、今後上場企業を親会社・取引先に持つ企業にも波及して行きます。内部統制の対応は、自社内の現状を調査して、基盤整備を着実に実施することが必要となりますが・・・(続きを読む) |