ブランド論の第一人者であるD.A. アーカーは、ブランド・エクイティには「ブランド・ロイヤルティ」「ブランドの認知度」「ブランドの知覚品質」「心理的・感情的な連想の強さ」「特許や商標や流通関係の資産」が関わっていると言っています。私は、アーカーとは少し違って、ブランド価値を「アイデンティフィケーション」「差別性」「品質感」「顧客の経済力に見合っているかどうか?」で評価していますが、アーカーと私のブランド・エクイティの捉え方に多少の差があるにせよ、共通しているのは「ブランド・エクイティは顧客の心の中に形成されるもの」だということです。
トヨタ、ホンダ、キヤノン、ソニー、松下など、歴史に残る経営者は皆、ブランドに対する意識が高く、企業の成功要因のひとつに「常にブランド価値を磨き、鮮度を保っている」ことが挙げられると思います。
かつてソニーが今のようなブランド・エクイティがなかった時代、盛田さんがトランジスタラジオをアメリカのブローバという大手の家電問屋に売り込みに行ったことがありました。そのとき、ブローバ社からは「OEMで、ブローバ・ブランドで作るのであれば、10万台をこの場で契約する」というオファーがあったのですが、盛田さんは「ソニー・ブランドでなければ、嫌だ」と拒否したという話があります・・・(続きを読む) |