いま、企業では従業員のモチベーションが大幅に低下しています。価値観の多様化、少子高齢化などさまざまな要因があると思いますが、大きな理由のひとつとして職場での心理的取引関係が崩れていることがあげられます。会社と個人との心理的な関係が変わったのです。発端は、バブル崩壊以降に導入された成果主義です。
バブル以前は、会社と個人の関係は「共同体的な取引関係」で一体感がありました。しかし、成果主義が取り入れられ、成果だけで評価される「契約的な取引関係」へと変わりました。こうなると、優秀な人とそうでない人がハッキリしてしまう。優秀な人は全体の20%くらい。残りの80%は「もっと頑張れ」と常に危機感を覚えている。こうした状態が続くと、自分は会社に必要とされていないと思い始め、モチベーションが一気に落ちてしまいます。
共同体的な一体感があった時代は、優劣があまりハッキリせず、ダメでも次は頑張ればいいという、将来に対するインセンティブがまだ残っていた。しかし、今やまったくなく、ここまで優劣が明確につくことに耐えられるほど強い精神を持っている人は、ほとんどいません。こうして、従業員の多くがモチベーションを低下させているのです。・・・(続きを読む) |