ブランドが成功するかどうかは、「どれだけ徹底できるか」という一点にかかっている。つまり、ブランドに関わる社員たち全員が一致団結することによって、ブランドが創り出されるのである。

　だから、「そのブランドの魂は何か？」ということを、全社員が共有する必要がある。そして、「ブランドの魂」とは、コンセプトのことだ。

　優れたブランドの場合、コンセプトが暗黙知という状態で全社員に共有されている。例えばトヨタウェイのように、明文化されていなくても、トヨタの社員であれば誰もがそれを理解している。

　しかし、そのような状態になるまでには、非常に長い時間が必要だ。計画的にブランド戦略を実施する場合は、短期間にそのような状態を創り出すことを目標としている。

　そのため、ブランドのコンセプトを明文化する必要がある。トヨタウェイを明文化していないトヨタ自動車も、レクサスのブランド戦略ではコンセプトを明文化した。

　コンセプトの構造は、様々だ。自社にとって使いやすい構造にすれば良いだろう。ただし、基本的なモデルはある。私は、レクサス･プロジェクトに参画した際に様々なブランドを研究し、優れたブランドのコンセプトには共通する構造があることに気づいた･･･(続きを読む）