ご存じのように、日本の公立病院の8割近くは赤字経営だと言われています。その要因は多岐にわたります。
たとえば、給与体系がいびつになっていることがあげられます。公務員の賃金体系は年功序列のままで、50代以上の給与の高い人が相対的に多くなる一方、若いスタッフに回すお金が少なくなっている。良い人材を採りたくても、臨時職員としてしか採用できないなど逆ピラミッド型の給与体系になり、そこから身動きがとれなくなっています。頑張った人に報いる制度ができていないのです。
また、公立病院は立場の異なる人の集まりですので、組織作りが難しい。医師の多くは、病院に属していながら、派遣元である大学の医局を向いて仕事しています。また、医療のプロではありますが、経営に関してはまったくの素人である場合がほとんど。科学者ですので、良い機材や薬を導入しようとします。けれども、それが病院の収入に見合ったものかどうか考慮しない傾向があるのです。さらに、医師達は高い教育を受けているため、プライドも高い。押しつけの組織作りですと、反発したり、辞めてしまったりすることも。気持ちよく働いてもらうためのモチベーションアップが欠かせません。
一方、事務の担当者は市町村の役場からの出向であるため、行政の方を向いています・・・(続きを読む) |