消費者像が多様化したとよく言われていますが、今に始まったことではありません。80年代くらいから盛んに喧伝され、呼応するかのようにマーケティング手法もマス・マーケティングからターゲット・マーケティングへと変わっていきました。しかし現在は、もっと大きく根本的な変動が進行していると考えています。
2001年ハーバードビジネスレビュー6月号の編集のお手伝いをしたとき、そのことをハッキリと認識しました。実証主義的な今までのやり方ではなく、新しい消費者のとらえ方が必要だと主張している人たちは、ある特徴的な消費者像を持っており、共通性があることに気づいたのです。そこで、どのような消費者像なのかを、まずは簡単にご紹介したいと思います。
米ビジネススクールのケロッグスクールでマーケティングを教えているジョン・F・シェリー教授は、学生時代には文化人類学を学んでいたという異色の経歴を持つ研究者で、現代の消費者は自身の中に多様な自我を持つ「多重人格」だと言っています。
また、ウィスコンシン大学のトンプソン教授は、アイデンティティが断片化し、不安定で常に変化している消費者を「文化的カメレオン」と名付けました・・・(続きを読む) |