私がM&Aのビジネスに参画したのは1978年からなのですが、当時は企業を売買するということが社会的にまだ受け入れられていない時代でした。欧米の資本主義と違って営利追求を全面に出すこともプラスに評価されていませんでした。むしろ生活は質素にして製品開発に没頭するのが良い経営者であるという風潮があったくらいです。
またM&Aという言葉もまだ広く認知されていませんでした。この時期にM&Aを行っていたのは大手証券会社4社の中で私が当時所属していた山一証券だけだったのですが、営業活動で企業の経営者に連絡すると、M&Aという言葉をご存じない方が多く、まずはその意味を説明しなくてはいけないような状況でした。また企業の買収や提携の支援をしていることをお話しても、そのような内容を外部に委託するニーズを感じている方は極めて少数だったのです。さらにそれについての手数料ということになるとなかなか話が先に進みませんでした。
M&Aには社会や経営者の価値観も大きく関わっています。M&Aを早くから積極的に活用していたアメリカとの違いを考えると、人生観やビジネスに対する考え方など、基本的な価値観が大きく異なっていると思います。まず、・・・(続きを読む)
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