内部統制に関わる法律が企業経営に求めていることを一言で言うと「見える化」になります。経営者は常日頃、法令順守やコンプライアンスということを念頭に経営を行っていると思いますが、だからと言って社内で不正が起きる可能性が全くないとは言えません。
特に会社の規模が大きい場合や、業務が複雑である場合などは、経営者が直接、監視・監督を行うことは困難です。従って、不正が起きない仕組みを事前に作っておく必要があります。上場企業の経営者は株主から会社の経営を任されていますから、不正が起きない仕組みについて説明責任があります。「自分はこのような取り組みをしたから会社には不正はなく、効率的な経営が行えている」ということを第三者から見て分かるようにする「見える化」が企業に求められているのです。
内部統制に関わる法律は大別すると、昨年5月に施行された会社法と2008
年4月からスタートする金融商品取引法、いわゆる日本版SOX
法の2つがあります。会社法では内部統制の目的が、業務の有効性、財務報告の信頼性、法令遵守、資産の保全など広い領域に渡っていますが、金融商品取引法では内部統制の目的を財務報告の信頼性に限定しているので、会社法に比べて狭い範囲になっています。経営者が内部統制に取り組む場合にはまず会社法での広い範囲で考えます。そして・・・(続きを読む) |