日本におけるM&Aの件数はこのところ急増しています。特に国内企業が国内企業に対して行うケースは、10 年前と比べ、4、5 倍にもなっています。このような状況の中で企業と株式市場の関わり方が議論されるようになってきています。これまでは株式の買い手である投資家やファンドは全て同じに見られていました。しかし、実際には様々な形のファンドが存在しています。長期的に資金を拠出し、経営にコミットして事業を立て直すことで収益を出す投資家もいれば、いわゆる「グリーンメーラー」と呼ばれてもおかしくない行為を行う投資家もいます。このように投資家が混在した状況では企業の長期的な成長を阻害してしまうことになります。投資家やファンドの仕分けをマーケットが行えるような、健全なファンドが活動しやすい状況を作り、資本市場をきちんと発達させていくことが必要だと考えています。
今回、企業価値研究会(座長・東京大学大学院法学政治学研究科・神田秀樹教授)のMBOに関する報告書を受けて、今回、経済産業省が制定した「企業価値の向上及び公正な手続確保のための経営者による企業買収(MBO)に関する指針」(MBO指針)は、これからMBOの活用を考えている企業が、透明な手続きを確保するために参考となるベストプラクティスのようなものです。株式の上場については東証などの取引所でいろいろと基準を作っていると思うのですが、上場廃止については明確なルールが整備されているとはいえない状況です。株式上場、非上場化の両方に一定のルールが必要で・・・
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